ランテールの向こうの角《すみ》には、ジョリーとバオレルとがドミノ遊びをやり、また恋愛の話をしていた。
「君は幸福だね、」とジョリーは言った。「君の女はいつも笑っている。」
「それがあれの悪いところなんだ。」とバオレルは答えた。「女が笑うというのはいけないものだ。そんなことをされるとだましてやりたくなる。実際、快活な女を見ると後悔するという気は起こらなくなるものだ。悲しい顔をされてると良心が出て来るからね。」
「義理を知らない奴だな。笑う女は非常にいいじゃないか。そして君たちは決してけんかをしたこともなしさ。」
「それは約束によるんだ。僕らはちょっと神聖同盟を結んで互いに国境を定め、それを越えないことにしている。寒風に吹きさらされてる方はヴォーに属し、軟風の方はジェックスに属するというわけだ。そこから平和が生まれるんだ。」
「平和、それは有り難い仕合わせだね。」
「だがね、ジョリリリリー、君はどうしてまた御令嬢とけんかばかりしてるんだ。……御令嬢と言えばわかるだろう。」
「あいつはいつもきまってふくれっ面《つら》ばかりしてるんだ。」
「だが君は、かわいいほどやせほおけた色男だね。」
「あ
前へ
次へ
全512ページ中209ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング