ールのそばには、ほとんど黙り返ったテーブルの上に、二つの小さなコップの間に一枚の紙とインキ壺《つぼ》とペンとがあって、小唄《こうた》ができ上がりつつあることを示していた。その大事件は低い声で相談されていて、それに従事しているふたりの者は頭をくっつけ合っていた。
「名前を第一に見つけようじゃないか。名前が出てくれば事がらも見つかるんだ。」
「よろしい。言いたまえ。僕が書くから。」
「ドリモン君としようか。」
「年金所有者か。」
「もちろん。」
「その娘は、セレスティーヌ。」
「……ティーヌと。それから。」
「サンヴァル大佐。」
「サンヴァルは陳腐だ。僕はヴァルサンと言いたいね。」
小唄を作ろうとしてる人々のそばには他の一群がいて、混雑にまぎらして低い声で決闘を論じていた。年上の三十歳くらいの男が年若の十八歳くらいの男に助言して、相手がどんな奴《やつ》だか説明してやっていた。
「おい気をつけろよ。剣にはあいつかなりな腕を持ってるんだ。ねらいが確かだ。攻撃力があり、すきを失わず、小手と、奇襲と、早術《はやわざ》と、正しい払いと、正確な打ち返しとに巧みなんだ。そして左|利《き》きだ。」
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