り物だ。幸福とは片面だけ色を塗った古額に過ぎない。伝道之書は言う、すべて空《くう》なり。おそらくかつて存在しなかったかも知れないその善人と、僕は同様の考えを持っている。零《ゼロ》はまっ裸で歩くことを欲しないから、虚栄の衣をまとうのだ。おお虚栄! 仰山な言葉ですべてに衣を着せたもの、台所は実験室となり、踊り児は先生となり、道化者は体育家となり、拳闘家《けんとうか》は闘士となり、薬局の小僧は化学者となり、鬘師《かつらし》は美術家となり、泥工は建築師となり、御者は遊猟者となり、草鞋虫《わらじむし》は翼鰓虫となる。虚栄には表裏両面がある。表面は愚で、ガラス玉をつけた黒人《くろんぼ》だ。裏面はばかで、ぼろをつけた哲学者だ。僕は前者を泣き、後者を笑う。名誉とか威厳とか言われるもの、名誉および威厳そのものも、一般に人造金でできてるに過ぎない。国王は人間の自尊心を玩具《おもちゃ》にしてるんだ。カリグラは馬を督政官にした。シャール二世は牛肉を騎士にした。ゆえに諸君は、督政官インシタツスと従男爵ローストビーフ([#ここから割り注]訳者注 前者は馬、後者は焼き肉[#ここで割り注終わり])との間をいばり歩くべ
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