アンジョーラとマリユスとを除いては、皆手当たりしだいに弁じ立てていた。仲間同士の話というものは、しばしばそういう平和な喧騒《けんそう》をきたすものである。それは会話であると同時にカルタ遊びであり混雑であった。人々は言葉を投げ合っては、その言葉じりをつかみ合っていた。人々は方々のすみずみで話をしていた。
 だれも女はこの奥室に入るのを許されていなかった。ただルイゾンという珈琲皿を洗う女だけは許されていて、時々洗い場から「実験室」(料理場)へ行くためにそこを通っていた。
 すっかりいい気持ちに酔ってるグランテールは、一隅《いちぐう》に陣取ってしゃべり立てていた。彼は屁理屈《へりくつ》をこね回して叫んでいた。
「ああ喉《のど》がかわいた。諸君、僕には一つの望みがあるんだ。ハイデルベルヒの酒樽《さかだる》が中気にかかって、蛭《ひる》を十二匹ばかりそれにあてがってやりたいというんだ。僕は酒が飲みたい。僕は人生を忘れたい。人生とはだれかが考え出したいやな発明品だ。そんなものは長続きのするものではない、何の価もあるものではない。生きることにおいて人は首の骨をくじいている。人生とは実際の役に立たない飾
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