しだ。人間の真価に至っては、もはやほとんど尊敬さるる価値がなくなってる。隣同士の賛辞をきいてみたまえ。白に白を重ねるとひどいことになる。白百合《しろゆり》が口を開くとすれば、いかに鳩《はと》のことを悪口するだろうか。狂信者をそしる盲信者は、蝮蛇《まむし》や青蛇《あおへび》よりももっと有害な口をきく。僕が無学なのは残念なわけだ。種々たくさん例をあげたいが、僕は何にも知らない。だが僕は常に機才を有していたんだ。グロの弟子《でし》になっていた時には、雑画を書きなぐるよりも林檎《りんご》を盗んで日を送ったものだ。ラパン(下手画工)はラピーヌ(奪略)の男性だ。僕はそれだけの人間だ。しかし君らだって僕と同じようなものさ。僕は諸君の完全無欠や優越や美点を何とも思わない。すべての美点は欠点のうちに投げ込まれるものだ。倹約は吝嗇《りんしょく》に近く、寛大は浪費に接し、勇気はからいばりに隣する。きわめて敬虔《けいけん》なことを云々《うんぬん》する者は、多少迷信的な言葉を発するものだ。ディオゲネスの外套《がいとう》に穴があると同じく、徳の中にもまさしく悪徳がある。諸君はいずれを賛美するか、殺されたる者と殺し
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