わかってるじゃないか。僕は返事をするために講壇の近くにいて、逃げ出すために扉《とびら》の近くにいたんだ。教師は僕を何だかじっと見つめていた。するとブロンドーの奴《やつ》、ボアローが説いた意地悪の鼻に違いない、突然レ[#「レ」に傍点]の字へ飛び込んできやがった。それは僕の文字なんだ。僕はモーの者で、レグルと言うんだ。」
「レーグル!」とマリユスは言葉をはさんだ、「いい名だね。」([#ここから割り注]訳者注 レーグルすなわち鷲はナポレオンの紋章で、彼はナポレオン崇拝家である[#ここで割り注終わり])
「ブロンドーはそのいい名前の所へやってきたんだ。そして叫んだ、レーグル[#「レーグル」に傍点]! 僕は答えた。はい[#「はい」に傍点]! するとブロンドーの奴、虎《とら》のようなやさしさで僕をながめ、薄ら笑いをして言いやがった。君はポンメルシーなら、レーグルではあるまい。この一言は君にとってあまり有り難くないようだが、実はそのいまいましい味をなめたのは僕だけさ。彼奴《あいつ》はそう言って、僕の名を消してしまった。」
 マリユスは叫んだ。
「それは実に……。」
「まず何よりも、」とレーグルはさえ
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