豪《えら》い奴だぞ、名を消されようとしている。待てよ。ずぼらなおもしろい奴に違いない。善良な学生ではないな。床の間の置き物みたいな奴ではないな。勉強家ではないな。科学や文学や神学や哲学を自慢する嘴《くちばし》の黄色い衒学者《げんがくしゃ》ではないな。くだらぬことにおめかししてる愚物ではないな。敬すべきなまけ者に違いない。そこらをうろついてるか、転地としゃれ込んでるか、浮わ気女工とふざけてるか、美人をつけ回してるか、あるいは今時分|俺《おれ》の女のもとへでも入り浸ってるかも知れないぞ。よし助けてやれ。一つブロンドーの奴をやっつけてやれ! その時ブロンドーは抹殺《まっさつ》の黒ペンをインキに浸して、茶色の目玉で聴講者を見回して、三度目に繰り返した、マリユス[#「マリユス」に傍点]・ポンメルシー[#「ポンメルシー」に傍点]! 僕は答えた、はい[#「はい」に傍点]! それで君は消しを食わなかったんだ。」
「君!……」とマリユスは言った。
「そしてそれで、僕の方が消しを食っちゃった。」とレーグル・ド・モーは言い添えた。
「君の言うことはわからない。」とマリユスは言った。
レーグルは言った。
「
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