葛}だということだから。」
それから彼は手紙をもみくちゃにして、ポケットに押し込んだ。実はマリユスは、その晩にたって翌朝は父のそばに行けたのである。ブーロア街の駅馬車が、当時夜中にルアン通いをやっていて、ヴェルノンを通ることになっていた。しかしジルノルマン氏もマリユスも、それを聞き合わしてみようとは考えもしなかった。
翌日薄暮の頃、マリユスはヴェルノンに着いた。もう灯火《あかり》のつき初める頃だった。彼は出会い頭《がしら》の男に、「ポンメルシーさんの家[#「ポンメルシーさんの家」に傍点]」を尋ねた。なぜなら、彼は内心復古政府と同意見を持っていて、やはり父を男爵とも大佐とも認めてはいなかった。
彼は父の住居を教えられた。呼び鈴を鳴らすと、ひとりの女が手に小さなランプを持って出てきて、戸を開いてくれた。
「ポンメルシーさんは?」とマリユスは言った。
女はじっとつっ立っていた。
「ここがそうですか。」とマリユスは尋ねた。
女は頭でうなずいた。
「お目にかかれましょうか。」
女は頭を振った。
「でも私はその息子です。」とマリユスは言った。「私を待っていられるんです。」
「もう待って
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