待してはいたが、ただこれだけは、いつか父に会うようになろうとは、まったく思いもかけなかった。彼にとっては、これほど意外なことは、これほど驚くべきことは、そしてまたあえて言うがこれほど不愉快なことは、何もあり得なかった。それは遠ざかろうとするものにしいて近づけられることだった。一つの苦しみのみではなかった、一つの賦役だった。
マリユスは政治的反感の理由のほかになお、いくらか気がやわらいだ時にジルノルマン氏が呼んだように猪武者《いのししむしゃ》である父は、自分を愛していないと思い込んでいた。父が彼を今のように見捨てて他人の手に任しておくのを見ても、そのことは明らかだった。自分が愛せられていないと感じて、彼もまた父を愛しはしなかった。これほどわかりきったことはない、と彼は思った。
彼はまったく呆然《ぼうぜん》として、ジルノルマン氏に訳を尋ねることもしかねた。祖父はまた言った。
「病気らしいのだ。お前に会いたいと言っている。」
そしてちょっと口をつぐんだ後に、彼は言い添えた。
「明日の朝、出かけなさい。フォンテーヌの家に、六時にたって夕方向こうに着く馬車があるはずだ。それに乗るがいい。
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