います[#「あれはみな暖炉職工でございます」に傍点]、」と言った腕のあらわな男どものうちの三人は、鉄くずの中を探って、ひとりは大きな鋏《はさみ》を取り、ひとりは重い火ばしを取り、ひとりは金槌《かなづち》を取って、一言も発せずに扉《とびら》から斜めに並んだ。年取った男はなお寝台の上に腰掛けていて、ただ目を開いたばかりだった。ジョンドレットの女房はそのそばに腰掛けていた。
マリユスはもう数秒のうちに自分が手を出すべき時が来るだろうと考えた。彼は廊下の方へ天井を向けて右手を上げ、ピストルを打つ用意をした。
ジョンドレットは棍棒《こんぼう》の男との対話を終えて、再びルラブン氏の方へ向き、彼独特のおさえつけたような恐ろしい低い笑いをしながら、前の問いをくり返した。
「それじゃ貴様には俺《おれ》がわからねえのか。」
ルブラン氏は彼を正面からじっと見て答えた。
「わからない。」
するとジョンドレットはテーブルの所までやっていった。そして蝋燭《ろうそく》の上から身をかがめ、腕を組み、その角張った獰猛《どうもう》な頤《あご》をルブラン氏の落ち着いた顔にさしつけ、ルブラン氏があとにさがらないくらいにできるだけ近く進み出て、まさにかみつかんとする野獣のようなその姿勢のまま叫んだ。
「俺《おれ》はファバントゥーというんじゃねえ、ジョンドレットというんでもねえ。俺はテナルディエという者だ。モンフェルメイュの宿屋の亭主だ。いいか、そのテナルディエなんだ。さあこれで貴様、俺がわかったろう。」
ほとんど見えないくらいの赤みがルブラン氏の額にちらと浮かんだ。そして彼は例の平静さで、震えもしなければ高まりもしない声で答えた。
「いっこうわからない。」
マリユスの耳にはその答えもはいらなかった。その暗闇《くらやみ》の中にそのとき彼を見た者があったならば、駭然《がいぜん》とし呆然《ぼうぜん》として打ちひしがれたような彼の様子が見られたであろう。ジョンドレットが「俺はテナルディエという者だ[#「俺はテナルディエという者だ」に傍点]」と言った瞬間に、マリユスはあたかも心臓を貫かれる刃の冷たさを感じたかのように、全身を震わして壁にもたれかかった。それから合い図の射撃をしようと待ち構えていた右の腕は静かにたれ、ジョンドレットが「いいかそのテナルディエなんだ[#「いいかそのテナルディエなんだ」に傍点]」
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