っくと身を起こし、壁を背にして、急いで室《へや》の中を見回した。左手の窓の方にはジョンドレットがおり、右手の扉《とびら》の方にはその女房と四人の男とがいた。四人の男は身動きもしなければ、また彼を見てる様子さえもなかった。ジョンドレットはぼんやりした瞳《ひとみ》をして悲しそうな調子を張り上げ、泣くような声でまた話し出した。それでルブラン氏も今目の前におるこの男は貧乏のために気でも狂ったのではないかと思ったかも知れない。
「もしこの画面でもお買い下さらなければ、まったく旦那様《だんなさま》、」とジョンドレットは言った、「私はもう策の施しようもありませんで、川にでも身を投げるよりほか仕方がございません。私はふたりの娘に、合わせ紙の仕事を、お年玉用のボール箱をこしらえる仕事を習わせようと思っていますんです。それにはガラスが下に落ちないように向こうに板のついたテーブルだの、特別な炉だの、木と紙と布とに使い分けする強さの違ったそれぞれの糊《のり》を入れる三つに仕切ってある壺《つぼ》だの、それからまた、厚紙を切る截《た》ち包丁、形を取る型、鉄をうちつける金槌《かなづち》、ピンセット、その他いろんなものがいります。そしてそれでいくら取れるかと言えば、日に四スーだけでございます、それも十四時間働きづめでして。箱一つでき上がるには十三遍も細工人の手をくぐります。しかも紙はぬらさなければならないし、汚点《しみ》をつけてはいけないし、糊《のり》は熱くしておかなければならないし、まったくやりきれません。そして日に四スーです。それでまあどうして暮らしてゆけましょう。」
そういうふうに語りながらジョンドレットは、彼を見守ってるルブラン氏の方を少しも顧みなかった。ルブラン氏の目はジョンドレットを見つめ、ジョンドレットの目は扉《とびら》を見つめていた。マリユスの熱心な注意はふたりの上に代わる代わる向けられた。ルブラン氏は自ら問うようなふうだった。「この男はばかなのかな?」ジョンドレットは冗漫と懇願とのあらゆる調子で二、三度くり返した。
「川にでも身を投げるよりほか、もう仕方がございません! 先日もそのつもりで、オーステルリッツ橋のわきを三段ほどおりてゆきました。」
と突然、彼の鈍い瞳《ひとみ》は怪しい炎に輝き、小さな身体は伸び上がって恐ろしい様子になり、ルブラン氏の方へ一歩進み、そして雷のような
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