ョンドレットが自分とその画面との間に立っているので、何が描いてあるかはっきり見て取ることができなかった。しかしちょっと見た所、粗末な書きなぐりのものらしく、その主要人物らしいのには、見世物の看板か屏風《びょうぶ》の絵かに見るようななまなましい色彩が施してあった。
「それは何ですか。」とルブラン氏は尋ねた。
ジョンドレットは勢いよく言った。
「大家の絵でして、非常な価値《ねうち》のあるもので、旦那様《だんなさま》。私はふたりの娘と同じぐらいにこれを大事にしていまして、種々の思い出がこもっているのでございます。ですが今申しましたとおり、まったくのところ、ごく困っているものですから、これを売ってしまいたいと存じまして……。」
偶然にか、それとも多少不安を感じ初めたのか、ルブラン氏はその画面をながめながらもちらと室《へや》のすみを見やった。そこには今や四人の男がいた。三人は寝台に腰掛け、ひとりは扉《とびら》の框《かまち》のそばに立っていた。四人とも腕をあらわにし、身動きもしないで、顔は黒く塗られていた。寝台に腰掛けてる三人のうちのひとりは、壁によりかかって目を閉じ、あたかも眠ってるかのようだった。その男はもう老人で、まっ黒な顔の上に白い髪があるありさまは何とも言えない不気味さだった。他のふたりはまだ若そうで、ひとりは髯《ひげ》をはやしており、ひとりは髪の毛を長くしていた。だれも靴《くつ》をはいていなかった。上靴をはいてない者は跣足《はだし》のままだった。
ジョンドレットはルブラン氏の目がその男らの上にすえられてるのを認めた。
「みな親しい仲の者で、近所の者でございます。」と彼は言った。「顔を黒くしていますのは、炭の中で仕事をしているからでして、みな暖炉職工でございます。どうかお気になさらないで、旦那、まあ私のこの画面を買って下さいませ。どうか不幸をあわれんで下さいませ。高くとは申しません。がまあどれぐらいの価値《ねうち》だとおぼし召されますか。」
「だが、」とルブラン氏は言いかけて、ジョンドレットの顔をまともにじっとながめ、用心するようなふうであった、「それは何か旅籠屋《はたごや》の看板ですね。三フランぐらいはしますかな。」
ジョンドレットは静かに答えた。
「紙入れをお持ち合わせでございましょうか。千エキュー(五千フラン)なら申し分ありませんが。」
ルブラン氏はす
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