ーズと言って、当時十八歳だったのである。
ウェリントンは運の傾いてきたのを感じた。危機は迫っていた。
胸甲騎兵らは敵の中央を突破し得なかったという意味では成功しなかった。その高地は皆の有であり、まただれの有でもなかった。そして要するに、大部分はなおイギリス軍の手中にあった。ウェリントンは村と一番高い平地とを有していた。ネーは高地の縁と斜面とをしか有していなかった。両方ともここを墳墓の地と根をおろしてるかのようだった。
しかしイギリス軍の衰弱はもはや回復すべからざるもののように見えた。その軍隊の出血は恐るべきものだった。左翼のケンプトは援兵を求めた。「一兵もない[#「一兵もない」に傍点]、そこで戦死せよ[#「そこで戦死せよ」に傍点]!」とウェリントンは答えた。それとほとんど同時に両軍の疲憊《ひはい》を語る珍しい一致であるが、ネーもナポレオンに歩兵を求めてきた。ナポレオンは叫んだ、「歩兵[#「歩兵」に傍点]! どこから手に入れてくれというのか[#「どこから手に入れてくれというのか」に傍点]、わしに歩兵をこしらえよとでもいうのか[#「わしに歩兵をこしらえよとでもいうのか」に傍点]?」
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