思議なほどである。ジャン・ヴァルジャンが考えた計画は、前日来着々としてつごうよく進んでいた。そして彼はフォーシュルヴァンと同じくメティエンヌ爺《じい》さんを当《あて》にしていた。彼は最後の成功を疑わなかった。これほど危険な状態でしかもこれほど完全な安心は、かつて見られないことだった。
 柩《ひつぎ》の四方の板からは、恐ろしい平安の気が発していた。死人の休息に似たある物が、ジャン・ヴァルジャンの落ち着きのうちにはいって来るかのようだった。
 棺の底から彼は、死と戯れてる恐るべき芝居の各部分をたどることができ、また実際たどっていた。
 フォーシュルヴァンが上の板に釘《くぎ》を打ち終わってから間もなく、ジャン・ヴァルジャンは持ち出されるのを感じ、次に馬車で運ばれるのを感じた。動揺の少なくなったことで、舗石《しきいし》から堅い地面へ出たことを、すなわち街路を通りすぎて大通りにさしかかったことを感じた。重々しい響きで、オーステルリッツ橋を渡ったことを察した。初めちょっと止まったことで、墓地にはいったことを知った。二度目に止まった時、もう墓穴だなと彼は思った。
 突然人の手が棺をとらえたことを彼は
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