ど》につかえて出なかった。
彼は急いで、その悪い言葉を忘れさすために一つの方法を考えついた。
「長老様、私は棺の中に土を入れて置きましょう。そういたせば人がはいっているようになりますでしょう。」
「なるほどね。土は人間と同じものです。ではそうしてお前はからの棺を処分してくれますね。」
「お引き受けいたします。」
その時まで心配そうで曇っていた修道院長の顔は、再び晴れ晴れとなった。彼女は庭番に、上役が下級の者をさがらする時のような合い図をした。フォーシュルヴァンは扉《とびら》の方へさがって行った。彼がまさに出ようとする時、院長は静かに声を高めて言った。
「フォーヴァン爺《じい》さん、私はお前を満足に思いますよ。あした葬式がすんだら、お前の弟を連れておいでなさい。そして、その娘も連れて来るように言っておやりなさい。」
四 ジャン・ヴァルジャンとアウスティン・カスティーレホーの記事
跛者の急ぎ足は片目の者の色目と同じで、中々目的物に届かないものである。その上、フォーシュルヴァンはまったく途方にくれていた。彼は庭のすみの小屋に帰りつくまでに、かれこれ十五分もかかった。コゼッ
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