ヴァンを待っていた。
二 難局に立てるフォーシュルヴァン
急迫した場合にいらだったしかも沈痛な様子をするのは、ある種の性格の人やある種の職業の人には常のことであるが、ことに牧師や修道者にはそうである。フォーシュルヴァンがはいってきた時、そういう二種の懸念の様子は院長の顔つきの上に現われていた。普通ならば、その学者であって愛嬌《あいきょう》のあるブルムール嬢すなわちイノサント長老は、至って快活な人だったのである。
庭番はおずおずしたおじぎをして、室の入り口に立ち止まった。院長はその大念珠を爪繰《つまぐ》っていたが、目を上げて言った。
「ああフォーヴァン爺さんですか。」
その省略名が修道院でも使われていた。
フォーシュルヴァンはまたおじぎをした。
「フォーヴァン爺《じい》さん、お前を呼んだのは私《わたし》ですよ。」
「それで私《わたくし》は参りました。」
「お前に話があります。」
「私の方でもちょうど、」とフォーシュルヴァンは内心に恐れながらも思い切って言った、「長老様に少々申し上げたいことがございます。」
院長は彼をじっと見た。
「ああ何か私の耳に入れたいことがあ
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