道院制と軍国主義とを再び建てること、寄食者の増加によって社会の幸福を信ずること、現在に過去を押し付けること、それは実に常規を逸したことと思われるではないか。けれど世にはかかる理論を主張する者がある。それらの理論家は、もとより才人であって、きわめて簡単な方法を持っていて、社会の秩序、天の正義、道徳、家庭、祖先崇拝、古き権威、神聖なる伝統、正法、宗教、などと彼らが称するところの塗料を過去の上に塗る。そして彼らは叫び回る。「いざ、善良なる人々よ、これを執れ。」そういう理論は、古人の間によく知られたものであった。ローマの卜占者《ぼくせんしゃ》らはそれを実行していた。彼らは黒牛に白堊《はくあ》を塗りつけて言った、「この牛は白である。」それこそ白塗りの[#「白塗りの」に傍点]牛である。
吾人は、過去がただ死者たることを自認しさえするならば、過去をも部分的にはこれを尊び全体としてはこれをいたわってやるであろう。しかしもし生者たることを欲するならば、これを攻撃しこれを殺さんとつとむるであろう。
迷信、頑迷《がんめい》、欺瞞《ぎまん》、偏見など、それらの悪霊は、悪霊でありながらもなお生命に執着し、そ
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