もピクプュス小路にも見張りがついてる。きっと袋町のうちにいるに違いない!」
 兵士らはジャンロー袋町のうちにはいり込んで行った。
 ジャン・ヴァルジャンはコゼットを負いながら屋根をすべりおり、菩提樹に取りついて地面に飛びおりた。恐怖のためか元気を出したのか、コゼットは息をも潜めていた。両手には少し擦過傷《すりきず》がついていた。

     六 謎《なぞ》のはじめ

 ジャン・ヴァルジャンがはいった所は、ごく広い異様なありさまをした一種の庭であった。特に冬にそして夜分にながめるためにこしらえられたかと思われるほど寂しい庭であった。長方形をなしていて、奥には大きな白楊樹《はこやなぎ》の並んだ通路があり、すみずみにはかなり高い木立ちがあり、まんなかはうち開けた空地になっていて、一本のごく大きな樹木、大きな藪《やぶ》のように込み合って曲がりくねった数本の果樹、四角な野菜畑、月の光に輝いてる瓜畑《うりばたけ》の鐘形覆《しょうけいおお》い、古い水溜《みずだめ》などが、それと見えていた。所々に石の腰掛けがあったが、苔《こけ》に黒くなってるようだった。道にはほの暗い小さな灌木《かんぼく》が立ち並んで
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