ていた。
 その四つの人影こそ、あの四人の男であった。
 ジャン・ヴァルジャンは再び捕えられた獣のように身を震わした。
 ただ一つの希望が残っていた。すなわち自分がコゼットの手を引いて月に照らされた空地《あきち》を通った時には、たぶん四人の男はまだ橋にさしかかっていず、自分の姿を認めなかったであろう。
 果してそうだとすれば、前にある小路にはいり込み、建築材置き場か野菜畑か畑地か建物のない空地かに出て、逃げのびることもできるに違いない。
 今はそのひっそりした小路に身を託すことができるように彼には思えた。彼はその中に進んでいった。

     三 一七二七年のパリーの地図

 三百歩ばかり行った時、ジャン・ヴァルジャンは街路の分岐点に達した。いずれも斜めに右と左との二筋に分かれていた。彼の前にはちょうどYの二本の枝のような通りがあった。いずれを選ぶべきか?
 彼は躊躇《ちゅうちょ》しなかった、右を選んだ。
 なぜか?
 左の枝は郭外の方へ、言い換えれば人の住んでる場所の方へ通じていたが、右の枝は田舎の方へ、言い換えれば人のいない場所の方へ通じていたからである。
 けれども二人はもう早く
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