の大きな荷車が、彼と同じくセーヌ川を右岸の方へ渡っていた。それは彼に利益だった。彼はその荷車の影に隠れて橋を通ることができた。
 橋の中ほどにきた時、コゼットは足が麻痺《しびれ》たから歩きたいと言った。彼はコゼットを下におろして、またその手を引いた。
 橋を渡り終えると、前方に少し右手に当たって建築材置き場が見えた。彼はそこへ進んで行った。そこまで行くには、月に照らされたうち開けた場所をかなり歩かねばならなかった。が彼は躊躇《ちゅうちょ》しなかった。追っかけてきてた者らは確かに道を迷って、自分はもう危険の外に脱していると、彼は信じていた。まださがされてはいるだろうが、もうあとをつけられてはすまい。
 小さな街路、シュマン・ヴェール・サン・タントアーヌ街が、壁に囲まれた二つの建築材置き場の間に通じていた。その街路は狭く薄暗くて、特に彼のために作られてるかのようだった。彼はそれにはいり込みながら、後ろをふり返ってながめた。
 そこから彼は、オーステルリッツ橋をすっかり見通すことができた。
 四個の人影が橋にさしかかってるところだった。
 それらの人影は植物園を背にして、右岸の方へこようとし
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