いた。
 もうすっかり夜が明け放れても、子供はまだ眠っていた。十二月の太陽の青白い光が、そのわびしい室《へや》の窓ガラスを通して、影と光との長い筋を天井に落としていた。その時突然、重く荷を積んだ荷車が大通りのまんなかを通って、その破屋を暴風雨《あらし》が襲ってきたかのように揺り動かし、土台から屋根まで震動さした。
「はい、お上さん、」とコゼットはびくりと目をさまして叫んだ、「ただいま、ただいま!」
 そして彼女は、まだ眠たさに瞼《まぶた》も半ば閉じたままで、寝台から飛びおり、壁のすみの方へ手を差し出した。
「ああ、どうしよう、箒《ほうき》は!」と彼女は言った。
 その時彼女は初めてすっかり目を開いた、そしてジャン・ヴァルジャンの微笑《ほほえ》んでる顔を見た。
「ああ、そうだった!」と彼女は言った。「お早う。」
 子供は天性、身自ら幸福と喜悦であるから、すぐに親しく喜悦と幸福とを受け入れるものである。
 コゼットは寝台の下にある人形のカトリーヌを見つけ、それを取り上げた。そして遊びながら、ジャン・ヴァルジャンへいろいろなことを尋ねた。――ここはどこであるか? パリーとは大きな町であるか?
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