いす》とが備えてあった。ストーヴが一つ片すみにあって、火が燃されて燠《おき》が見えていた。表通りの街燈が、その貧しい室のうちにぼんやりした明るみを投じていた。奥の方に別室があって、たたみ寝台が置いてあった。ジャン・ヴァルジャンは子供をその寝台の上に抱えていって、目をさまさないようにそっとおろした。
彼は燧《ひうち》を打ち合わして、蝋燭《ろうそく》をともした。そういうものはみな前もってテーブルの上に用意されていたのである。そして彼は前夜のようにコゼットの顔をながめはじめた。その目つきには喜びの情があふれて、親切と情愛との表われは今にもはち切れそうであった。小娘の方は極端な強さか極端な弱さかにのみ属する心許した静安さをもって、だれといっしょにいるのかも知らないで熟睡し、どこにいるのかも知らないで眠り続けていた。
ジャン・ヴァルジャンは身をかがめて、子供の手に脣《くちびる》をあてた。
九カ月前には、永《なが》の眠りについたその母親の手に彼は脣を当てたのであった。
その時と同じような悲しい痛切な敬虔《けいけん》な感情が、今彼の心にいっぱいになった。
彼はコゼットの寝台のそばにひざまず
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