中にでもこしらえられてたら、りっぱな邸宅の窓としても恥ずかしからぬほどのものだった。
戸口はただ腐食した木の板でできていて、その板はいい加減に四角に割った薪《まき》のような横木で無造作に止めてあった。戸口はすぐに急な階段に続いていた。階段は段が高く、白塗りで泥と塵《ちり》とにまみれ、戸口と同じ幅になっていて、表の通りから見ると、梯子《はしご》のようにまっすぐに上っていって二つの壁の間に暗がりに消えていた。戸口がついてるぶざまな壁口の上の方は、狭い薄板で張られ、その薄板のまんなかに三角形の小窓があけられていて、戸口がしめらるる時には軒窓ともなり小窓口ともなっていた。戸口の内側には、インキに浸した二筆《ふたふで》で五二という数字が書いてあり、薄板の上方には同じ筆で五〇という数字が書きなぐってあった。全くどちらが本当かわからなかった。いったい何番地なのか? 戸口の上からは五十番地と言うし、戸口の中からは反対して、いや五十二番地だと言う。三角形の小窓には、塵にまみれた何かのぼろが旗のように掛かっていた。
窓は大きくて、高さも十分であり、鎧戸《よろいど》もあり大きな窓ガラスの框《かまち》もつ
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