絶対服従[#「絶対服従」に傍点]という言葉はそれをさし示すものである。軍隊というものは、結合の不思議な傑作であって、多くの無力の合計より力が生じてくる。人道によってなされ、人道に対抗してなされ、人道をふみつけにしてなされる戦争なるものは、かくして初めて説明し得らるる。
 ブールボン家の人々について言うならば、一八二三年の戦役は彼らにとっては致命的なものであった。彼らはこの戦いをもって成功であるとした。そして圧迫をもって一つの思想を屏息《へいそく》せしむることにいかなる危険があるかを少しも見なかった。浅慮なる彼らは謬見《びゅうけん》をいだいて、罪に対する非常なる鈍感をあたかも力の一要素ででもあるかのようにおのが館《やかた》のうちに導き入れた。待伏陰謀の精神は彼らの政策のうちにはいってきた。一八三〇年([#ここから割り注]訳者注 七月革命の年[#ここで割り注終わり])は一八二三年に芽を出した。スペイン戦争は彼らの評議会において、武力断行と神法に対する冒険とを弁護する論拠となった。フランスはスペインに専制君主[#「専制君主」に傍点]をうち立てながら、自国内に専制君主をよくうち立てるを得た。両
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