名前を受くるに、フランスが困惑を感じたことは、史眼に照らして正当である。防御の任を帯びたスペインのある将軍らは、明らかにあまりにたやすく屈伏したらしい。その戦勝は見る人の心に買収の想像を起こさせる。勝利を得たというよりもむしろ将軍らを買い得たかの観がある。そして戦いに勝った兵士らは屈辱を負って国へ帰った。軍旗のひだのうちにフランス銀行[#「フランス銀行」に傍点]の文字を読み得る所には、戦争の光輝は薄らぐ。
サラゴサの城壁が頭上に恐ろしく倒れかかる下にあってなお泰然たるを得た一八〇八年の兵士らは、一八二三年には、諸|要塞《ようさい》のたやすい開城に対して眉をしかめ、パラフォス将軍([#ここから割り注]訳者注 一八〇八年にサラゴサを護ったスペインの勇将[#ここで割り注終わり])を惜しみはじめた。おのれの前にバレステロスを有するよりも、むしろロストプシンを有するを好むのがフランス人の気質である([#ここから割り注]訳者注 前者は当時の敵の将軍、後者はナポレオンのロシア侵入の時モスコーを焼き払ったロシアの将軍[#ここで割り注終わり])。
なおいっそう重大にしてここに力説するが適当である他の
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