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 今日ではなおそのほかに、あるいは弾丸と火薬箱や、あるいは手|垢《あか》のついた赤茶けた古いカルタなど、確かに悪魔どもの使ったらしい品物がそこに見いだされるだろう。トリフォンはこの終わりの二品をあげていない、彼は十二世紀の人なのである。そして悪魔も、ロージャー・ベーコンより前に火薬を発明し、シャール六世より前にカルタを発明するだけの知力を、持っていなかったものと見える。
 その上、もしそれらのカルタを弄《もてあそ》ぼうものなら、すっかりうち負けて取られてしまう覚悟がいる。そしてまた箱の中の火薬には、鉄砲をその所有者の顔に向かって発射させる特性がある。
 ところで、放免囚徒ジャン・ヴァルジャンが数日間の逃走の間にモンフェルメイュ付近をうろついたらしく検察官はにらんだのであるが、その時期の後間もなく、ブーラトリュエルというある年取った道路工夫が森の中で「おかしなふうをしている」のが、モンフェルメイュの村の人たちの目についた。ブーラトリュエルはかつて徒刑場にはいっていた者であるとその地方では信じられていた。彼は警察の監視の下に置かれていた、そしてどこにも仕事が見つか
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