殺戮が到来した。
 次の計算がなされ、次の比例が立てられた。兵員の損失――アウステルリッツにおいて、フランス軍百分の十四、ロシア軍百分の三十、オーストリヤ軍百分の四十四。ワグラムにおいて、フランス軍百分の十三、オーストリア軍百分の十四。モスコヴァにおいて、フランス軍百分の三十七、ロシア軍百分の四十四。バウツェンにおいて、フランス軍百分の十三、ロシア・プロシア軍百分の十四。ワーテルローにおいて、フランス軍百分の五十六、連合軍百分の三十一。ワーテルローについての合計、百分の四十一。十四万四千の兵士に、六万の戦死者。
 ワーテルローの平野は今日、人間の虚心平気な踏み台たる地面に固有の平静さを保っている、そして他の平原と何ら異なった点を有しない。
 けれども夜には、一種の幻の靄《もや》が立ち上る。もしだれか旅客にして、そこを漫歩し目を定め耳を澄まし、あのいたましきフィリッピの平原([#ここから割り注]訳者注 昔アントニウスとオクタヴィアヌスとがブルツスとカシウスとを敗ったマケドニアの平原[#ここで割り注終わり])に対するヴィルギリウスのごとくに黙想するならば、そこに起こった大破滅の幻覚にとらえ
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