小児《こども》に乳を与える所を捕えられて、腰まで裸にされ、杭《くい》に縛られ、小児は彼方《かなた》へ引き離された、あのユーグノー派の気の毒な婦人をも、同様にあわれむのです。乳房《ちぶさ》は乳に満ち心は苦しみに満ちていた。飢えたまっさおな小児はその乳房を見ながら、もだえ泣き叫んだ。刑執行人は母たり乳母《うば》たるその婦人に向かって、異端の信仰を去れ、と言いながら、小児の死か良心の死かいずれかを選ばせようとした。一個の母親に適用されたタンタルス([#ここから割り注]訳者注 永久の飢渇に処刑せられたるギリシャ神話中の人物[#ここで割り注終わり])の処刑を、あなたは何と言われますか。よろしいですか、フランス大革命はその正当の理由を有しているのです。その憤怒は未来によって許さるるでしょう。その結果はよりよき世界です。その最も恐るべき打撃からは人類に対する愛撫《あいぶ》が出て来るのです。簡単に言ってのけましょう。私の方が有利だから止《よ》しましょう。それに私はもう死ぬのです。」
 そして司教を見るのをやめて民約議会員は、次の静かな数語のうちにその思想を言ってのけた。
「そうだ、進歩の激烈なるを革命
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