ているものです。ついでながら、私はあなたの馬車の音を聞かなかったですが、たぶんあすこの分かれ道の所の林の後ろに乗り捨ててこられたのでしょう。あえて言うが私はあなたを知らないです。あなたは司教であると言われた、しかしそれはあなたの精神上の人格について私に何かを告げるものではない。要するに私は私の質問をくり返すばかりです。あなたはだれであるか? あなたは司教である。換言すれば教会の主長で、金襴《きんらん》をまとい、記章をつけ、年金を受け、ばく大な収入を有する人々の一人である。ディーニュの司教、一万五千フランの定収入、一万フランの臨時収得、合計二万五千フラン。多くの膳部《ぜんぶ》があり、多くの従僕があり、美食を取り、金曜日には田鶴《ばん》を食し、前後に従者を従えて盛装の馬車を駆り、大邸宅を持ち、はだしで歩いたイエス・キリストの名において四輪馬車を乗りまわす人々の一人である。あなたは法衣の役人である。定収入、邸宅、馬車、従僕、珍膳《ちんぜん》、あらゆる生活の楽しみ、あなたはそれらのものを他の人々と同じく所有し、同じく享楽していらるる。それは結構である。しかしそれは十分の説明にはならない。おそら
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