の上に涙をそそぐのです。」と司教は言った。
「同じ程度に!」とGは叫んだ。「そしてもしいずれかが重くなるべきであるならば、それは人民の方へでありたいです。人民の方がいっそう久しい前から苦しんでいるのです。」
またちょっと沈黙が続いた。それを破ったのは民約議会員であった。彼は肱《ひじ》をついて立ち上り、尋問し裁断する時に人が機械的になすように、人さし指をまげて親指との間にほほの一端をつまみ、臨終の精力を全部こめた眼眸《まなざし》で司教に呼びかけた。それはほとんど一つの爆発であった。
「そうです、人民は久しい前から苦しんでいる。しかも単にそれだけではない。あなたはいったい何をルイ十七世について私に尋ねたり話したりしにきたのです? 私は、私はあなたがどんな人だか知らない。この地方にきていらい、私はこの囲いのうちにただひとりで暮らしてきた。一歩も外に出たこともなく、私を助けてくれているあの子供のほかだれにも会わなかった。実際あなたの名前はぼんやり私の耳にはいってい、それも悪いうわさではなかった。しかしそれは何の意味をもなさないです。巧みな人々は、正直な人民に自分をよく言わせる種々な方法を知っ
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