んだ。王位は虚偽のうちに得られた権力です。しかるに学問は真実のうちに取られた権力です。人はただ学問によって支配さるべきです。」
「それから良心によって。」と司教はつけ加えた。
「良心も同じものです。良心とは、われわれが自己のうちに有している天稟《てんびん》の学問の量をさすのです。」
ビヤンヴニュ閣下は、少し驚いて、自分にとってきわめて新しいその言葉に耳を傾けた。
民約議会員は続けた。
「ルイ十六世については、私は否と言ったのです。私は一人の人を殺す権利を自分に信じない。しかし私は悪を絶滅するの義務を自分に感ずる。私は暴君の終滅に賛成したのです。言い換えれば、婦人に対しては醜業の終滅、男子に対しては奴隷《どれい》の終滅、小児に対しては暗夜の終滅に。私は共和政治に賛成することによって、以上のことに賛成したのです。私は友愛と親和と曙《あけぼの》とに賛成した。私は偏見と誤謬《ごびゅう》との倒壊を助けた。誤謬と偏見との崩落は光明をきたすものである。われわれは古き世界を倒したのです。そして悲惨の容器であった古き世界は、人類の上に覆《くつがえ》って喜悦《きえつ》の壺《つぼ》となったのです。」
「
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