る。
 それは一七九五年のことであった。ジャン・ヴァルジャンは、「夜間家宅を破壊して窃盗を働きし廉《かど》により、」時の裁判官の前に連れてゆかれた。彼は前から小銃を一|挺《ちょう》持っていて、だれよりも上手で、少しは密猟もやっていた。それが彼にはなはだ不利であった。密猟者に対しては世間一般の至当な悪感情がある。密猟者は密輸入者とともに、きわめて盗賊に近いものである。けれどもついでに一言すれば、これらの人々と憎悪すべき都会の殺人者との間にはなお大なる相違がある。密猟者は森林中に住み、密輸入者は山中もしくは海上に住む。都会は腐敗したる人を作るがゆえにまた猛悪なる人を作る。山や海や森は野性の人を作る。それらは人の荒々しい方面を大ならしむるが、しかしそれでもなおよく人の人間的な方面を失わせはしない。
 ジャン・ヴァルジャンは有罪を宣告された。法典の規定は明白であった。われわれの文明においても恐るべき時期がある。処刑が一つの破滅を宣告する時期がそれである。社会がまったく遠ざかってゆき、一個の精神を有する人が再び回復し得ざるまでに全然棄却され終わるその時期は、いかに恐るべき時期であるか! ジャン・
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