だ。
彼は樹木の枝おろしの時期には日に二十四スー得ることができた。それからまた、刈り入れ人や、人夫や、農場の牛飼い小僧や、耕作人などとして、雇われていった。彼はできるだけのことは何でもやった。姉も彼について働いたが、七人の幼児をかかえてはどうにも仕方がなかった。それはしだいに貧困に包まれて衰えてゆく悲惨な一群であった。そのうちあるきびしい冬がやってきた。ジャンは仕事がなかった。一家にはパンがなかった。一片のパンもなかったのである、文字どおりに。それに七人の子供。
ある日曜の晩、ファヴロールの教会堂の広場に面したパン屋のモーベル・イザボーという男が、これから寝ようと思っている時に、格子《こうし》とガラスとでしめた店先に当たって激しい物音がするのを聞きつけた。きてみるとちょうど、格子とガラスとを一度にたたき破った穴から一本の手が出てるのを見つけた。その手は一片のパンをつかんで持っていった。イザボーは急いで表に飛び出した。盗人は足に任して逃げ出した。イザボーはその後を追っかけて取り押えた。盗人はパンを早くも投げすてていたが、手には血が流れていた。その男こそジャン・ヴァルジャンだったのであ
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