ら出て行った。野の中に何か樹木か堆藁《つみわら》かを見出してそこに身を避けようと思ったのである。
そして彼はうなだれながらしばらく歩いた。人の住居から遠くへきたと思った頃、目をあげてあたりを物色してみた。野の中にきていた。前には短く刈られた切株に蔽われた低い丘が一つあって、刈り入れをした後のその有り様は刈り込みをした頭のようだった。
地平は真暗《まっくら》になっていた。それはただ夜のやみばかりのためではなかった。低くたれた雲のためでもあって、雲は丘の上に立ちこめているらしく、しだいに昇って、空をも蔽わんとしていた。けれども、月がまさに出んとする頃、そしてなお中天に暮れ残った明るみが漂っている時、雲は高く空中に一種のほの白い円屋根を形造って、そこから明るみが地上に落ちていた。
そこで地上は空よりも明るく、妙に気味悪い光景で、貧しげな荒涼たる輪郭の丘は暗い地平の上に青白くぼんやりと浮き出していた。すべての様が醜く卑しく悲しげでまた狭苦しかった。野の中にも丘の上にも一物もなく、ただ数歩前に曲がりくねった無様《ぶざま》な樹木が一本立ってるきりだった。
この旅の男はもとより、事物の神秘な
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