》をたたいて、喜《よろこ》んでまわりをはねまわるのを見《み》ながら、人がよさそうに笑っていた。そしていつもの意見《いけん》をもち出《だ》した。「うまくは書いてあるかも知れないが、何《なん》の意味《いみ》もない。」――彼はいつも、クリストフの家で催《もよ》おされる小演奏会《しょうえんそうかい》に出席《しゅっせき》したがらなかった。その時の音楽《おんがく》がどんなに立派《りっぱ》なものであっても、彼は欠伸《あくび》をしだし、退屈《たいくつ》でぼんやりしてる様子《ようす》だった。やがて辛抱《しんぼう》出来なくなり、こっそり逃《に》げ出《だ》してしまうのだった。彼はいつもいっていた。
「ねえ、坊《ぼう》や、お前が家《いえ》の中で書くものは、どれもこれも音楽《おんがく》じゃないよ。家の中の音楽は、部屋《へや》の中の太陽《たいよう》と同じだ。音楽は家《いえ》の外《そと》にあるものなんだ、外で神様のさわやかな空気《くうき》を吸《す》う時《とき》なんかに……。」
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あとがき
クリストフはその後《ご》、偉《えら》い音楽家《おんがくか》になりました。彼《かれ》の音楽《おんがく
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