、小父がよくわかってくれたのを見てとった。
それ以来《いらい》、二人《ふたり》は夕方《ゆうがた》、しばしば一しょに散歩《さんぽ》に出《で》かけた。黙《だま》って歩いて、河に沿《そ》っていったり、野を横切《よこぎ》ったりした。ゴットフリートはゆっくり煙草《たばこ》をすい、クリストフは夕闇《ゆうやみ》が怖《こわ》くて、小父《おじ》に手をひかれていた。彼等《かれら》はよく草の上に坐《すわ》った。ゴットフリートはしばらく黙《だま》ってたあとで、星《ほし》や雲《くも》の話《はなし》をしてくれた。土《つち》や空気《くうき》や水のいぶき、または闇《やみ》の中にうごめいてる、飛《と》んだりはったり泳《およ》いだりしている小《ちい》さな生物《いきもの》の、歌や叫《さけ》びや音、または晴天《せいてん》や雨の前兆《ぜんちょう》、または夜《よる》の交響曲《シンフォニー》の数《かぞ》えきれないほどの楽器《がっき》など、それらのものを一々聞きわけることを教えてくれた。時とすると、歌《うた》もうたってくれた。悲《かな》しい節《ふし》の時も楽しい節の時もあったが、しかしいつも同《おな》じような種類《しゅるい》のもの
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