じわる》はしないよ。許《ゆる》しておくれよ。僕は小父《おじ》さんが大好きだ!」しかし彼《かれ》はいえなかった。――そしていきなり小父《おじ》の腕《うで》の中にとびこんだ。言葉は出《で》なかった。彼はただくり返《かえ》した。「僕《ぼく》は小父《おじ》さんが好《す》きだ!」そして心をこめて抱《だ》きついた。ゴットフリートはびっくりし、感動《かんどう》して、「何《なん》だ、何だ?」とくり返《かえ》しながら、同《おな》じように彼を抱《だ》きしめた。――それから彼《かれ》は立上《たちあが》り、子供《こども》の手をとっていった。「もう家《うち》へかえろう。」クリストフは自分《じぶん》の気持《きもち》が小父《おじ》にはわからなかったのではないかしらと、また悲《かな》しい気持になった。しかし家《うち》のところまで来《く》ると、小父はいった。「また晩《ばん》に、お前さえよかったら、一しょに神様《かみさま》の音楽《おんがく》をききに行こう。もっとほかの歌《うた》も歌ってあげよう。」そしてクリストフは、感謝《かんしゃ》の気持《きもち》で一ぱいになって、おやすみの挨拶《あいさつ》をしながら、抱《だ》きついた時
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