とからついていった。そしていつもの通り、子犬《こいぬ》のようにじゃれついていじめた揚句《あげく》、とうとう息《いき》を切《き》らして、小父《おじ》の足もとの草《くさ》の上にねころんだ。腹《はら》ばいになって芝生《しばふ》に顔をうずめた。息切れがとまると、また何《なに》か悪口《わるくち》をいってやろうと考えた。そして悪口が見つかったので、やはり顔を地面《じべた》に埋《うず》めたまま、笑《わら》いこけながら大声《おおごえ》でそれをいってやった。けれど何《なん》の返事もなかった。それでびっくりして顔《かお》を上《あ》げ、もう一|度《ど》そのおかしな常談《じょうだん》をいってやろうとした。すると、ゴットフリートの顔《かお》が目の前にあった。その顔は、金色《こんじき》の靄《もや》のなかに沈《しず》んでゆく夕日《ゆうひ》の残りの光《ひかり》に照らされていた。クリストフの言葉は喉《のど》もとにつかえた。ゴットフリートは目を半《なか》ばとじ、口を少しあけて、ぼんやり微笑《ほほえ》んでいた。そのなやましげな顔には、何《なん》ともいえぬ誠実《せいじつ》さが見えていた。クリストフは頬杖《ほおづえ》をついて、
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