トフはいつも夜《よる》よく眠れないで、夜の間に昼間《ひるま》の出来事《できごと》を思いかえしてみる癖《くせ》があって、そんな時に、小父《おじ》はたいへん親切《しんせつ》な人だと考え、その憐《あわ》れな人に対する感謝《かんしゃ》の気持《きもち》がこみ上げて来《く》るのだった。しかし昼《ひる》になると、また彼をばかにすることばかり考えて、感謝《かんしゃ》の様子などは少《すこ》しも見せなかった。その上、クリストフはまだ小《ちい》さかったので、善良《ぜんりょう》であるということの価値《かち》が十分にわからなかった。子供《こども》の頭《あたま》には、善良と馬鹿とは、だいたい同じ意味《いみ》の言葉と思《おも》われるものである。小父《おじ》のゴットフリートは、その生《い》きた証拠《しょうこ》のようだった。
ある晩《ばん》、クリストフの父が夕食をたべに町に出《で》かけた時、ゴットフリートは下の広間《ひろま》に一人残っていたが、ルイザが二人《ふたり》の子供《こども》をねかしている間《あいだ》に、外に出《で》てゆき、少し先の河岸《かし》にいって坐《すわ》った。クリストフはほかにすることもなかったので、あ
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