の生の闘士らが、ふたたび戦闘を始め戦闘の信念を持続するために必要な気力を、この土地でふたたび見出したことであろう!
 この国で暮らしているうちに、彼はこの国をよく知ることができた。通り過ぎる人々の多くの眼には、ただ欠点しか映じてはいない。この強健な土地のもっとも美《うる》わしい特質を汚す旅館の癩病《らいびょう》、世界の肥満した人々が健康を購《あがな》いに来る奇怪な市場たる外国人の町々、皿《さら》数のきまった食事、動物の塚穴《つかあな》の中に投げ捨てられた獣肉の濫費、子馬の声に音を合わせる娯楽場の音楽、退屈してる金持の馬鹿《ばか》者どもを嫌《いや》な頓狂《とんきょう》声で喜ばせる賤《いや》しいイタリー道化《どうけ》役者、または、商店の陳列品の低劣さ、すなわち木彫の熊《くま》や箱庭の家やつまらぬ置物など、なんらの創意もないいつもきまりきった品物、破廉恥な書物を並べてる正直な本屋など――すべて、無数の閑人《ひまじん》どもが、賤民《せんみん》の娯楽より高尚でもなければまた単に活発でもない娯楽さえ、少しも見出すことができないで、毎年なんらの喜びもなくぼんやり飲み込まれるそれらの環境の、低級な精神
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