フランス人はなんという不思議な民衆でしょう! 二十年前に私は、彼らはもう駄目だと思っていました……。ところが彼らはまたやり出しています。私の親友のジャンナンがそれを予言したことがありました。しかし私は彼が空《うつろ》な幻をかけてるのではないかと思ったのです。その当時どうしてそんなことが信ぜられましょう! フランスは当時そのパリーと同じように、崩壊や漆喰《しっくい》や破れ穴でいっぱいでした。「彼らはすべてを破壊してしまってる……なんという破壊的な民族だろう!」と私は言っていました。――ところが彼らは海狸《ビーバー》のような民族です。廃墟《はいきょ》の上を荒らしまわってると思ううちに、その同じ廃墟でもって、新たな都市の土台を築いています。四方に足場が立てられてる今となって、私にもそのことがわかってきました……。
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事が起こったその時には、
馬鹿までそれを悟るとぞ……。
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実を言えば、やはり同じフランス式の無秩序です。四方に入り乱れてる群集の中で、それぞれ自分の仕事におもむいてる労働者の組を見分けるには、それに慣れなければなりません。御存じ
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