のとおり彼らは、何かするときにはかならずそれを屋根の上で叫ばずにはいられない連中です。また彼らは、何かするときにはかならず隣人のやってることを貶《けな》さずにはいられない連中です。もっとも丈夫な頭の人をも当惑させるほどのものがあります。けれど私のように十年近くも、彼らのうちで暮らした者なら、もう彼らの喧騒《けんそう》に欺かれはしません。それが仕事に熱中する彼らのやり方であることに気づきます。彼らはしゃべりながら働いています。そしておのおのの仕事場で自分の家を建てながら、ついには都市全体が建てられるのです。もっともよいことには、建築の全体があまり不調和ではありません。彼らは相反した種々の問題をいくら主張しても、みんな同じようにでき上がってる頭をもっています。したがって、彼らの無政府状態の下には共通の本能がありますし、規律の代わりになる民族的論理があります。そしてこの民族的論理の規律は、結局、プロシア連隊の規律よりもいっそう強固であるかもしれません。
 同じ勢いが、同じ建設の熱が、至る所にこもっています。社会主義者や国家主義者が、ゆるんだ国権の機関を締め直そうと競って働いてる、政治界におい
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