は何も申しますまい。私は有名ということの価値を知っていますから。この連中が私について言ったり書いたりしてくれる親切な事柄は、私の心を動かします。私は彼らに感謝しています。しかしなんと申したらいいでしょうか? 私は現在私をほめてる人々によりも、昔私を攻撃していた人々のほうに、より近しい気がするのです……。その罪は私にあるのです。自分でもそれを知っています。私をしからないでください。私はちょっと困惑を覚えました。そんなことは予期していなければならなかったことです。でも今では済んでしまいました。私は了解しました。そうです、あなたが私を人中に立ちもどらせたのは至当なことでした。私は孤独のうちに埋もれかかっていたのです。ツァラトゥストラの真似《まね》をするのは不健全なことです。生の波は過ぎ去ります、われわれのもとから過ぎ去ります。もはや沙漠《さばく》にすぎなくなる時期が来ます。河流の所まで砂中に新しい水路を掘るには、幾日も労苦しなければなりません。――そのことも済みました。私はもう眩暈《めまい》を覚えません。流れを結び合わせてしまったのです。私はながめてそして悟っています……。
わが友よ、この
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