って、あるいは欠点によって、時とすると冷淡に近い不注意によって、無邪気な利己主義によって、人の心をさわやかならしめた。いつも自然のままだった。そして単純な怠惰な彼女も、時によると、別に悪気なしに嬌態《きょうたい》を作ることを知っていた。そういうとき彼女は、青年たちに釣《つり》針を投げ、野外写生に出かけ、ショパンの夜想曲をひき、読みもしない詩集をもち歩き、理想主義めいた話をし、同じく理想主義めいた帽子をかぶったりした。
 クリストフはひそかに彼女を観察しながら笑っていた。彼は彼女にたいして、寛大な揶揄《やゆ》的な父親めいた情愛をいだいていた。そしてまた、昔自分が愛していた女であって、しかも彼の愛ではなく他の愛のために新しい若さをもってふたたび現われてきた女、その女にたいする内心の敬愛をもいだいていた。だれも彼の情愛の深さを知ってるものはなかった。ただオーロラ自身だけが薄々気づいていた。彼女は幼いときから、たいていいつも自分のそばにクリストフを見てきた。彼を家族の一人ででもあるように見なしていた。昔母から弟ほどかわいがられなくて苦しんでるうちに、知らず知らずクリストフへ接近した。彼女は彼の
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