一部を口移しにしてくれ、公衆が待ち受けてる適宜な用語へ、開けた道を通って彼を従順に引き連れていってくれたのだった。ところが今では、もはや道は一つもなく、感情がみずから道を開かねばならなかった。精神はただそれについて行くだけのことだった。精神の役目はもはや、熱情を叙述することでさえなかった。精神は熱情と一体をなさねばならず、熱情の内部の法則を奉じようとしなければならなかった。
同時に種々の矛盾が落ちかかってきた。クリストフはそうだと自認しはしなかったが、もう長い前からそれらの矛盾に悩んでいた。彼は純粋な芸術家ではあったが、芸術に関係のない考慮を自分の芸術に交えがちだった。彼は自分の芸術に一つの社会的使命をになわしていた。そして自分のうちに二人の者がいることに気づかなかった。その一つは、道徳上のなんらの目的をも懸念せずにただ創作する芸術家であり、一つは、自分の芸術が道徳的で社会的であることを欲する理屈好きの実行家だった。両者は時とするとたがいに相手を妙な困難のうちに陥れ合った。ところが今や創作の全観念が、有機的法則をそなえてるすぐれた一つの現実のように、彼へのしかかってきたので、彼は実際
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