ぎつぎに浮かんできた……。彼は書きに書いた、シャツの袖《そで》にも帽子の裏にも書いた。いかに早く書いても思想の早さに及ばなかったので、一種の速記法を用いなければならなかった……。
 それは奇形な記述ばかりだった。それらの観念を普通の音楽形式の中に流し込もうとすると、困難が生じてきた。昔の鋳型が一つも適応しないことを彼は見出した。自分の幻想を忠実に書き止めようとすれば、これまで聞いた音楽をすべて忘れ、これまで自分が書いたものをすべて忘れることが、まず必要だった。学び知った固定形式をことごとく一掃し、伝統的な技巧を一掃し、無能な精神の松葉杖《まつばづえ》を捨て去り、自分で考える労を避けて他人の思想中に臥《ふ》すような人々の怠惰のためにできてる、その臥床《ふしど》を捨て去らねばならなかった。先ごろ、彼は自分の生活と芸術との成熟期に達したと思っていたとき――(実は生活の一段階を終えたにすぎなかったのであるが)――そのころ彼は、自分の思想が生まれる以前から存在してる言語でおのれを表現していたのだった。彼の感情は以前からでき上がってる発想の論理におとなしく服従していて、その論理が前もって彼に楽句の
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