歌っていた。闇黒を歌っていた。生を歌い死を歌っていた。戦いに勝った人々のために歌っていた。打ち負けた彼自身のためにも歌っていた。それは歌いに歌っていた。すべてが歌っていた。もはやそれ自身が歌にほかならなかった。
あたかも春の雨のように、音楽の奔流は冬に亀裂《きれつ》したこの地面中に吸い込まれていた。恥辱も悲痛も憂苦も、今ではその神秘な使命を現わしていた。それらのものは土地を分解し、土地を肥やしていた。苦悩の鋤《すき》の刃は心を引き裂きながら、生の新たな泉を開いていた。荒れ地はふたたび花を咲かしていた。しかしそれはもはや昨春の花ではなかった。一つの別な魂が生まれていた。
その魂は刻々に生まれつつあった。なぜならば、生長の限界に達した魂のように、将《まさ》に死なんとする魂のように、まだ骨化してはいなかった。まだ立像ではなかった。溶解してる金属であった。この魂は刻々に新しい世界となされていた。クリストフは自己の範囲を定めようとは思わなかった。過去の重荷を後ろに投げ捨て、若々しい血と自由な心とで、長い旅に出発して、海洋の空気を呼吸し、終わることなき旅であると考えてる人、そういう人と同じ喜び
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