もたない。汝はすべてを取り去った。世の沙漠《さばく》の中において、ただ一人の者がわれのものであった。汝はそれを奪い去った。われわれの心はただ一つであった。それを汝は引き裂いた。共に居るの楽しさを汝がわれわれに知らせたのは、たがいに失う悲しみをよりよく知らせんがためのみであった。汝はわれのまわりに、われのうちに、空虚を穿《うが》った。われはくじけ、病み、意志を失い、武器を失い、闇の中に泣く小児のごとくなっていた。その時を選んで、汝はわれを打った。あたかも叛逆《はんぎゃく》者のごとくに、足音をぬすんで後ろより来て、われを突き刺した。汝はわれに向かって、汝の猛犬を、情熱を、解き放した。汝の知るとおりわれに力なく、闘うことを得なかった。情熱はわれを打倒し、われのうちのすべてを荒らし、すべてを汚し、すべてを破壊した……。われはわれ自身が厭《いと》わしい。せめてわが悲しみと恥とを、大声に嘆き得たならば! もしくはそれを、創作力の奔流のうちに忘れ得たならば! しかしわが力はくじかれており、わが創作は干乾《ひから》びておる。われは一本の枯れ木にすぎない……。もし死ぬことができていたならば! おう神よ、
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