はなお見合った……。ああ、おたがいのために死のうとするこの間ぎわになっても、二人はたがいに遠く離れてる気がした!……どちらも慴《おび》えた考えをしていた。
「いったい私は何をしてるのか、何をしてるのか。」
 そしてどちらも相手の眼の中にそれを読みとった。その行為のばかばかしさは、ことにクリストフの心を打った。全生活は無益に終わった。奮闘も無益、苦しみも無益、希望も無益だった。すべてが空費されて風に投げ捨てられた。つまらないちょっとした動作で、いっさいが消し去られようとしていた。……尋常の状態にあったら、彼はアンナの手からピストルをもぎ取り、それを窓の外に放り出し、こう叫んだであろう。
「いえいえ、私は嫌《いや》です。」
 しかし、八か月間の苦しい悩みと疑惑と哀悼と、なおその上に、狂乱した情熱の突風とは、彼の力を滅ぼし彼の意志をくじいていた。彼はもうどうにも仕方ない気がし、もう自分で自分が自由にならない気がしていた……。ああ、結局、どうだって構うものか!
 アンナは永遠の死を確信していて、自分の一身を生命の最後の瞬間の手に委《ゆだ》ねていた。揺《ゆ》らめていてる蝋燭《ろうそく》の火に輝ら
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