ですか。」
彼女は低い声で答えた。
「ええ。」
彼は彼女がどんなに苦しんだろうかを感じた。
しばらくして、彼は眼つきで彼女に尋ねかけた。彼女はその意を悟った。
「机の中です。」と彼女は言った。「右のほう、下の引き出し……。」
彼はそこへ行って捜した。引き出しの奥に一|挺《ちょう》のピストルが見えた。それはブラウンが学生時代に買ったもので、かつて使われたことがなかった。クリストフはこわれた箱の中に、数個の弾《たま》を見出した。彼はそれを寝台のところへもって来た。アンナはそれを見て、すぐに壁の裾《すそ》のほうへ眼をそらした。クリストフは待った。それから尋ねた。
「もう嫌《いや》ですか。」
アンナは急に振り向いた。
「いいえ……早く!」
彼女はこう考えていた。
「もうこうなっては、私を永遠の淵《ふち》から救い出してくれるものは何もない。どちらにしても同じことだ。」
クリストフは無器用な手付きでピストルに弾をこめた。
「アンナ、」と彼は震える声で言った、「どちらかが一人の死ぬのを見ることになります。」
彼女は彼の手から武器を引ったくって、利己的に言った。
「私が先に。」
二人
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